最近2つのドキュメンタリー映画を見た。
どちらもミュージシャンのドキュメンタリーである。

ひとつはhideさんの『JUNK STORY』
もうひとつは『ジェームス・ブラウン 最高の魂を持つ男』

hideさんというのはX JAPANのギタリストで、ソロ作品等でも素晴らしい曲を残し、享年33歳で亡くなった。
音でも、衣装などの見た目でも最先端を生きていたロックギタリスト、アーティストである。
その音楽も見た目も、いまだに色褪せない輝きを放っている。
そしてジェームス・ブラウンというのはソウルミュージックシンガーで、ソウルミュージックの親分みたいな存在だ。

『JUNK STORY』は実際の映像と、生前hideさんに関わったミュージシャンのインタビュー、そしてアニメーション等を交えた作品で、『ジェームス・ブラウン 最高の魂を持つ男』は亡きジェームス・ブラウンをチャドウィック・ボーズマンが演じている。
どちらの映画もミュージシャンとして非常に良い刺激を受けて、「俺も頑張んなきゃ、もっと、もっと。」と思わせてくれる素敵な映画だった。

しかし、この2つの映画には決定的な違いがある。
『ジェームス・ブラウン 最高の魂を持つ男』は映画で
『JUNK STORY』は映画じゃなかった。

それについて書きたいと思う。

ネタバレを含むので以下注意

 
『JUNK STORY』はhideさんの生い立ちから亡くなるまで、そして亡くなった後を時系列順に並べている。
一方『ジェームス・ブラウン 最高の魂を持つ男』はそうではない。サクセスストーリーの合間に幼少期のエピソードが入って来る。

実際の映像を使っている『JUNK STORY』に制約が多いのは分かるが、あまりにも単純な「並べました」感がある。
hideさんが子供の頃の自分、松本秀人に宛てた手紙が、ちょうど映画の真ん中辺りで出てくるが、ここが映画の1番の盛り上がり。
そして2番目がhideさんが亡くなったところだ。

hideさんを知らない初心者には分かりやすいし、映像をじっくり読んで理解できない人、理解できない環境であればこのように時系列順に並べた映像の方がいいかもしれない。
しかし、ここは映画館。
家事や仕事をしながら、「ながら見」している人なんているわけない。
こう言うのもなんだがテレビのドキュメンタリー番組を見ているように感じた。「映画」っぽさが僕には感じられなかった。

時系列がゴチャゴチャして、少しぐらいの時系列の認識に誤解が観客に生じても構わないじゃないか。
hideから松本秀人への手紙は映画のラストで出すべきではないのか。
もっと観客を信じてほしかった。最後の最後で心をわし掴みにして終わってほしかった。
そう感じて映画館を後にした。


ちなみに『JUNK STORY』は最後まで寝ずに観たけど、『ジェームス・ブラウン 最高の魂を持つ男』はラスト付近で眠くなって寝てしまったのだ。

でも、どちらも3000円以上の価値がある映画だと思うので、是非映画館で見て頂きたい。
特に音楽好きには。



どうぞ御贔屓に。 
親日尾