数が多くなってきたので記事のまとめページを作りました。
#岡田斗司夫映画ゼミ ジュラシックパーク編 まとめページ


引き続き記憶とノートとGoogle、Wikipedia、映画を頼りに書いてるので、言った内容と違ってるかもです。
あしからず。



ブラキオサウルスっていう首長竜がいて、手前に人間がいると。
このシーンがやたらとリアルなんだ。
このリアルさには秘密があって、色温度っていうのをちゃんと設定してるんだ。

例えば、同じ物体でも晴れた日の日光の下で見るのと、ちょっと曇った日や部屋の中で見るのでは、その物体の色の見え方が違うんだよ。
人間の脳はそれを補正して、白は白って感じるんだけどね。
このシーンはちゃんと周りの植物もこの恐竜も快晴の日の太陽の下で見える色にしてるんだ。

今まではやった方がリアルになるって分かってたんだけど、面倒臭くてやらなかったんだ。
ジュラシック・パークはこういうものを一個一個丁寧にやっていったんだ。



ちょっと恐竜を初めて見るシーンを説明するね。

グラント博士っていうのは40代半ばで大学の時から恐竜一筋。
恐竜一筋っていうのは何かって言うと、生きている間は絶対に見れないものを生涯追い求める職業なんだ。
自分が好きなもの、この世の中で一番大事なものは 、1億年前に滅びてしまって絶対に見ることがないと思いながらも、ずっと砂漠の中で土を掘って出て来る恐竜の化石、恐竜の面影なんだ。
その彼が初めて見た時のこのリアクションをちゃんと映すわけだ。


で、グラント博士が何かに気付く。
カメラ自身が寄っていく、トラックアップしていくんだ。
で、帽子を取って立ち上がる。この時グラント博士はサングラスしているから表情が分からない。
サングラスを外すと瞳孔が開いていて、興奮しているのが分かる。
古植物学者の彼女は古植物に夢中で気づいていない。
そしてグラント博士は彼女の頭を横に向ける。
彼女もサングラスを外して立ち上がる。

このタメがものすごく上手いんだ。
ここもいきなり恐竜を映すんじゃなくて、この2人が立ってるところから恐竜を映して、しかも全身を見せないんだ。
ゆっくりとこの恐竜が坂を登って行くんで、より巨大感が増す。
巨大感が増す中で、カメラがゆっくりと動いて恐竜の顔の部分を映す。

で、カットが切り替わって、この2人を映して、しっぽからカット切り替えなしで上がっていく。
けど、ここは胴体までしか映らず、首から上は見切れている。
共感すべきはこの2人だっていうことで、スピルバーグが見せているのは、恐竜ではなくて、この2人の気持ちなんだ。
「It's a dinosaur」
あまりに興奮して当たり前のことを言う(笑)


「やはり恐竜は変温動物じゃない。恒温動物だ。」
「水棲でもない」
この台詞は何かって言うと、恐竜論争の中で1番大きなものの1つなんだ。
このブラキオサウルスっていうのは、長い間トカゲと考えられていて、変温動物と思われていたんだ。
長い首の先の頭、脳の位置まで血液を送ることができないと。
変温動物の心臓っていうのはだいたい一心房一心室で、人間は二心房二心室じゃない。
動脈と静脈が分かれてるんだけども、ワニなんかはちゃんと分かれてない。
なので爬虫類っていうのはずっと動き続けることができないんだ。
だからワニってずっと寝てて、素早く動いてまた止まるでしょ?
あれは素早く動き過ぎると、体温が上がりすぎて死んじゃうんだ。

この恐竜はそうじゃない。
まず首を上に上げて移動してる。ということはこれは恒温動物で、心臓のポンプの動力が強くて、
で、おまけに水棲生物じゃないと。
昔、こんな生物が4本脚で立てるはずがないと考えられていて、水の中に浮いて生活してたと思われていたんだ。
でも、「そうじゃないんだ !」って、自分達の学説が証明された瞬間だから感激している。
その感激と共に下からの煽りのショットになると。

そして、ブラキオサウルスが二本足で立って高い所の葉を食べる。
ここで恐竜の全身も見せてるんだけど、ハモンドさんのドヤ顔とこの2人の感激を1つのフレームで抑えているんだ。
本当すごいね、スピルバーグ。

もしティム・バートンが監督してたら、ハモンドさんの方に感情移入させるようにしてたと思うんだ。
人間を愛せないというような暗い方に行くだろうし、原作で書いている企業の陰謀で人間性が潰れていくっていう方に書いちゃうと思うんだよね。
でもスピルバーグは晴れた日の中で、恐竜がガンガン暴れるというのをちゃんと撮ってくれる。







まだまだ続きます。



親日尾