『ブレードランナー2049』見てきました。
SF好きにはおすすめですけど、SF好きじゃない人には、、、という感じです。
SF好きじゃない人が見に行って、「つまんなかった」とか言っても責任は持ちませんよ!(笑)
でも、映像は綺麗なので、それだけならSF好きじゃない人も期待して行っていいです。


今回の映画の前日譚が公開されてますので、予習したい人はどうぞ。
これを見ずに映画を見た方も復習のためにどうぞ。

【渡辺信一郎監督による前奏アニメ解禁!】「ブレードランナー ブラックアウト 2022」

【『ブレードランナー 2049』の前日譚】「2036:ネクサス・ドーン」


【『ブレードランナー 2049』の前日譚】「2048:ノーウェア・トゥ・ラン」


というわけで、ここからは見た人向けにネタバレありで書いていきます。
見てない人はご注意を。









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Kの正体を示唆するもの

Kの自分探しの物語となっている今回のブレードランナー2049。

そのKが作られたレプリカントなのか、それともレプリカントから生まれたレプリカントなのか、
そこに焦点が当てられています。
子供を産んだレプリカントの発見、そしてそこに残された日付が、記憶の中にある木馬に刻まれた日付と一致する。
その記憶の中の映像にKの正体を示唆している部分がありました。

注目すべきは髪型です。
Kの記憶の中の映像では、自分以外の男の子はみんな坊主頭なんですね。
ということで、男の子は坊主頭にさせられていて、自分は坊主頭でない。つまり女の子っていうことです。
今の性別と一致しないので、移植された記憶というわけで、Kは生まれたレプリカントではなく、作られたレプリカント、となります。

男の子だけど主人公だから分かりやすく彼だけ坊主頭じゃなくした、なんて理由でこんなことしないんですね。だって分かりにくさで定評のあるブレードランナーですから(笑)


『A.I.』のオマージュ?

昔、スピルバーグ監督作品で『A.I.』という映画があったの憶えていますか?
この映画も人造人間、アンドロイドが出てくるんですけど、主人公はアンドロイドの少年 デイビッド。
この映画のワンシーンで、プールの中に沈んだデイビッドがプールサイドにいる親たちを見るというシーンがあるんですよ。そのシーンを今回のブレードランナー2049でオマージュしてるんじゃないか、というところがありました。

デイビッドっていうのは死んだと思われていた息子の代わりとして、親が用意したアンドロイド。
でもその子供は息を吹き返して、両親は本当の子供と、アンドロイドのデイビッドの両方を育てることにするんです。

で、その本当の子供とデイビッドがモメるか何かして、2人ともプールの中に沈んでしまいます。
アンドロイドは水中でも死なないですから、両親はもちろん本当の子供を救います。
その時、デイビッドは全然心配されず、本当の子供を救った両親達は「よかったよかった」とプールを去っていきます。デイビッドはまだプールの底に沈んだままなのに。
デイビッドは自分もプールから救い出してくれると思っていたけど、本当の子供だけ救い出された。
両親の愛情を受けられなかったんですね。
プールの中で「僕も助けてもらえる」とデイビッドが思っている時は、水面には波がなくて、水中のデイビッドからプールサイド(水上)にいる両親がはっきり見えます。
でも、助けてもらえずに両親が去っていくに従って波が大きくなっていき、両親の姿が波で揺れてぼやけるんです。
ここでスピルバーグはデイビッドの心と、目に映る両親の姿をシンクロさせて、愛情を受けられなかったショックを揺れて見える両親として表現してるんですね。

で、やっとブレードランナー2049に戻ります。
ラヴ(ウォレスの秘書で格闘が強い女性レプリカント)とKが最後の方で、海に沈む車の中で対決します。
Kはラヴの首を締めて、水の中に。そしてラヴは水の中で窒息死します。
その死ぬ時のシーンが美しかったですね。
その死ぬ時に、ラヴは水中からKを見ます。
『A.I.』と順序が逆で、揺れる水面越しにKを見るラヴ。もちろんKの姿は揺れてはっりき見えません。
そしてラヴの死に近づくにつれて、水面の揺れはなくなり、Kがはっきり見えてきます。
荒ぶっていたラヴの心が死で以ってやすらぎを得たんですね。

というわけで、水中から水面越しに見える映像の揺らぎによって、水中にいるアンドロイドの心を表現している両作品でした。

岡田斗司夫さんも指摘していたように、リドリー・スコットはキューブリックの『2001年宇宙の旅』を自分なりに作り直してる、というのとも繋がるんですよね。

というのも、『A.I.』っていう作品はキューブリックが監督するはずだった作品で、キューブリックの死後、スピルバーグが監督して作った映画なんですよ。
『2001年宇宙の旅』同様、『A.I.』でもアンドロイドと人間というテーマが扱われていて、見てないはずはないし、オマージュしててもおかしくはないなあ、という感じです。


あらすじ まとめ

ここらへんで今回の映画のあらすじをまとめておきます。

Kは元軍人のレプリカント(眼鏡の大男)を処分。
その家近くの木の下に遺骨と遺髪が埋められていた。
遺骨から女レプリカントが子供を産んだと分かる。
警察(マダム)はレプリカントが出産した事実(父親と子供)を滅却するようKに指示。
遺髪からレイチェルと分かり、レイチェルのデータを検索。
木には日付彫ってあり、それはKの記憶にある木馬に彫ってある日付と一致。
Kはその日付に産まれた子供のデータを検索。
DNAが一致する男女の子供のデータを発見。(初見で俺は双子かと思ったけどね)
データによると女児は死に、男児は生きてるという。
Kは自分がその男児ではないかと思う。
女博士に自分の記憶が本物か調べてもらう。違う誰かの記憶と判定される。女博士泣く。
Kはデータにあった孤児院に行く。
孤児院の記録はその子の年だけ破って処分されてた。
孤児院で木馬拾う。記憶の通りの場所にあった。
木馬からデッカードの場所分かる。
デッカードに会う。
Kは(ジョイ経由で?)ラブに監視されてて、ラブ来る。
Kはやられてデッカードはラヴに連れ去られる。
気絶したKをレプリカント反乱軍が保護。
反乱軍はKに仲間になるよう誘う。
反乱軍はデッカードから自分達のアジトがばれてはいけないと、デッカード殺害をKに依頼。
生まれたレプリカントの居場所を吐かせるために、ラブはデッカードを植民地へ移送。
移送中にKが襲う。
Kはラブを殺しデッカードを救う。
雪が降る中、デッカードと娘を再会させる。


・ウォレスとラヴ・・・ウォレスは人間で、レプリカントの繁殖を成功させて、植民地を増やしたい。目の色が変なのは、盲目だからで、レプリカントだからではない。
デッカードとその子供を保護して、研究したい。
レプリカントの奴隷解放には反対。

・マダム(Kの上司)・・・レプリカントの繁殖に反対。レプリカントが出産したという事実を滅却したいので、関係するデッカードとその子供を殺したい。
レプリカントの奴隷解放には反対。
Kに「デッカードの子供は処分した」と嘘をつかれる。Kに対し多少の恋心あり。

・レプリカント反乱軍・・・デッカードの子供を救世主として立てて、レプリカントの奴隷解放をしたい。
デッカードから自分達のアジトがばれるのを防ぐため、ウォレス、ラヴに捕まったデッカードには死んでほしい。


こんな感じでしょうか。間違ってたらごめんなさい。


キリスト教的なこと

レプリカントが出産したことを「奇跡」と作中で言っていますが、これはキリスト教の「マリアの処女懐胎」に当たるんでしょうか。
他にも「天使」とかそのようなキリスト教的ワードも出てきます。
やはり、神が作った人間、そして人間が作ったアンドロイド、そのへんがリドリー・スコットの最近のテーマなんでしょうね。


前作からの踏襲

オリジナルでは蛇使いダンサーが透明ビニール服を着て、外に駆け出す、みたいなシーンがあったと思いますが(間違ってたらごめんなさい)
今回のブレードランナー2049ではジョイが透明ビニール服を着てました。
なんというか未来感が出ますよね。


じゃあまた!!