切腹特区


切腹特区 1話はこちら
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「これだな、原因は」大掛かりな作業の後に水道業者が見せたのは大便の跡が付いた大人用おむつだった。「なんだいや、なんでそんなことするだあ、だらず!」ヒカリは心配そうに起きてきた父に怒鳴った。怒鳴った直後にそれを後悔した。水道業者の前でヒカリは怒りのやり場がなく、壁をドンっと叩いた。

「5万4300円です」

現金で払おうとしていたヒカリは驚いた顔をして出そうとしていたお札を財布の中にしまい「カード使えますか?」と言った。

大便を漏らしたことを隠したかったのだろう。間に合わず、漏らした後でトイレに全て流そうとしたみたいだ。

こんな生活がいつまで続くのか。同級生のほとんどが親の介護をすることなく自由に生活しているのを見ると自分が哀れに思えてきた。おやじは死ぬのが怖いのか、それとも無用になるのを認めたくなかったのか、どうせ切腹メールを削除したのだろう。せっかく鳥取に戻って来たのに。

新たにメールが届いたら、調子の良い時に切腹に同意させよう。

ヒカリは固く決意した。


切腹特区 11話
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