切腹特区


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「カハッ」突然ヒカリの父親は息をし始めた。ヒカリの顔に血の気が戻っていく。今まで気にしたことはなかったが、ただの睡眠時無呼吸症候群だった。

心配して損したと言わんばかりに、ヒカリはとぼとぼと父親の寝室から出ていった。

そして山下と松田と3人のグループLINEに「親父はちゃんと生きてたから、大丈夫✌」とだけ入れて、風呂も入らずにそのままベッドで寝始めた。

次の日の朝、朝食を食べた後、ヒカリは父親に改まって話を始めた。

「おやじ、もう鳥取を出て介護の安い県に行かなやってけんわ。ヘルパーさんを雇うのも施設に入るのもお金がごっつうかかるし、このままだと飢え死にするけえ、考えてくれや」

「俺は鳥取で死ぬって決めとるだけえ、最後のわがままくらい聞いてくれや」

「でもなあ、おやじ。本当にこのままだと、、、」

「うるさい!」父親は机の上に置いてあった皿を手に取り思いっきり投げて、その後殴りかかって来た。ヒカリは父親の殴打を防御して、自分の部屋に逃げ込んだ。こうなったら落ち着くまで待つしかない。以前から同じことが起きた時は何を言っても逆に感情が激しくなるばかりだった。痴呆になってからどうやら感情の波があるらしい。まともに会話できるタイミングもあるのだが、悪い時はすぐに暴力的になった。



切腹特区 15話
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