切腹特区


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「お前もうちょっと世間話とかできないのかよ」

「すみません、、、」

「あんなやり方したら身構えるだろうがよ」

坊主頭の若い警官は、係長に怒られていた。

「なんで鳥取に住み続けたんですかね。痴呆になって鳥取にいるのは生きづらいのみんな知ってるはずなのに」

「さあな。色々あるんだろ」

「それにしても最終同意のメールが届かないっていう人、たまにいるんすよね。」

「昔は全然いなかったけど、確かに最近そういう話を聞くなあ。市役所のAIがバグってんじゃないか」

「ありえますよね、それ。ヒカリさんの周囲の話だと、お父さんのことで相当苦労してたみたいで。かわいそうだなあ」

「まあヒカリさんが殺したんじゃないんだろうな、あれは」

「やっぱ強盗殺人ですか」

「だろうな。盗まれたものはないみたいだけど」

「これはこれで良かったんですかね。ヒカリさんの表情を見ると、そう思えて」

「かわいそうだけど相続税が大変じゃないか。家の中や服を見るとあんまりお金は持ってない感じだったし」

「どういうことですか?お金ないなら相続税もないんじゃ。。。」

「あの時計見たろ?ロレックスのアンティークものだよ、あれ」

「え、あんな古臭い時計が?!」

「1000万円は軽く超えるやつじゃないか、偽物じゃなければだけど。本人には買えないだろうから父親からもらった可能性が高いとみた」

「えー、っていうか犯人はああいう時計を狙って強盗に入ったんじゃ。。。」

「きっとそうだろうな。入ったけど中は貧乏な暮らししかなかった」

「早く言ってくださいよ。ヒカリさんを疑って色々言っちゃったじゃないですか」

「お前、知ってたらヒカリさんにこのこと言うだろ」

「、、、言わないですよ、、、」坊主頭の警官は尻すぼみに答えた。

「ほら、言う」ベテラン係長は少し笑った。

「話変わりますけど、昨日の市の職員さんが亡くなったの、あれ自殺でほぼ確定みたいですね。」

切腹特区 22話
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