切腹特区


切腹特区 1話はこちら
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ヒカリの自宅を黒髪ショートボブの女性が訪ねて来た。

「え、相続税こんなにかかるんですか?」ヒカリはうろたえた。

「そうなんですよ。特区になってから鳥取では相続税の条例も作られまして。ヒカリさんのその時計、お父様から譲り受けてから1年以内に亡くなったと伺いましたが、現在の市場価格が3200万円で、生前退世されてないので25%の相続税がかかります。さらに申告されてなかったので5%が加算されます。それで960万円の相続税ですね。」ショートボブの女性は早口で事務的に説明する。

「ふざけないでください。こんな金額払えないです。」

「そうするとその時計を売って払って頂くか、そうでなければ差し押さえるしかないんですが」国税局の女性は淡々と言った。

「これはおやじの形見なんです」目に涙を浮かべながらヒカリは言ったが、国税局の女性は冷たく早口で返した。「こちらも決まりでやってますので、どうしようもなんです。諦めてください」


切腹特区 23話
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