切腹特区


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「係長〜、ちょっとこれ見てくださいよ」

坊主頭の警官はベテラン係長にパソコンの画面を見せた。鳥取県内の、要介護の高齢者数の推移がグラフ化されている。若者特区になってからその数は徐々に減っていき、2035年から5年間、要介護者は0人になっていた。しかし、それ以降は一定の人数が要介護になっても安楽死せずにいたのだ。

「やっぱり、ここ数年は少しいるんだな」

「係長、それだけじゃないんですよ」坊主頭の警官は続けてもう1つのデータを見せる。データには生前退世の最終同意メールを受信したにもかかわらず生前退世を拒否した人数の推移が載っている。

「これ、2035年くらいから切腹しない人が増えてて、でも2041年からは切腹しない人が減って今や0人か。ん?2035年からのデータ、切腹せずに生き続ける人が増えてるのに要介護の人がいなくなったのはどういうこと?普通逆じゃない?」

「このデータが正しいとすると、最終同意しなかった全員が県外に引っ越してるってことじゃないですか?安楽死を拒否したのに鳥取県内にはいないってことですから。実際にその頃って県外に転出する人増えてましたし。」

「なるほど。メールが実際に届くと切腹するのが怖くなって、介護のしやすい県外に引っ越したのか。まあ、合理的な判断だよな」

「2041年からの、ちょこちょこと要介護の人がいるのに安楽死の拒否が0っていうのもおかしいですよね。最終同意メールが届いてないってことですもんね。」

「これ、最終同意メールが届かないまま亡くなった人の地域って偏ってたりするの?」

「ちょっと待って下さい。県警内にあるデータから出せるはずですんで」

「さすが。任せた」


 切腹特区 24話
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