切腹特区 1話はこちら
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ヒカリは家の扉の前にいる。鍵を取り出し挿し込んで回したが、いつもの「ガチャッ」という音がせず手応えもない。「またか」ヒカリは疲れた表情をした。
その6時間後、ヒカリは坊主頭の警官から「最近お父さんとケンカしなかったですか?」と聞かれた。
「以前はよく言い合いがあったけど、最近は少し落ち着いてたように思います。痴呆の人って暴力的になるんですよ。それで僕がよく叩かれたりしてました」
「やり返したりは?」
「払いのけたり止めたりすることはありましたが、こっちから殴ったりはしてないです。そんなことしたらすぐに死にそうですからしないです。最近は僕が部屋に逃げ込んでたんで。殴られて死んだんですか?」
「う〜ん、まあ。あと茶髪の人と最近会ったりしました?」
「ええと、会ってないですね。友人に茶髪はいないですけど」
「茶髪の人を家に上げたりしたことは?」
「ないですね」
「あと、お父さんのスマホを触ったりしました?」
「いや、触ってないです」
「本人以外の指紋が出ましてね。ヒカリさんの指紋も取らさせてもらえないですか?」
「あ、触ったことあります」
「なんで嘘ついたんですか」
「ただすぐに思い出せなかっただけですから。僕を疑ってるんですか」
「いや、一応確認だけはしとかないと上から怒られるんで。単にそれだけですから。あとお父さんは痴呆と聞いてますが、生前退世の申し込みはされなかったんですか?」
「申し込んでたけど、最終同意のメールが来ないって言ってました、父は。ちゃんとメール調べてくれたら分かると思います」
「あと、岡山にいた時の知り合いとは最近会ってないですか?」
「ああ、眞幸教のことですか?」
「ええ、まあ」
「全然会ってないです。解散して鳥取に引っ越して来てから、会ってもいないし全く連絡も取ってないし」
「そうなんですね。本当かどうかヒカリさんのスマホとパソコンも調べても大丈夫ですか?」
「え、それ強制じゃないですよね?、、、それはちょっと」
切腹特区 21話
切腹特区 21話
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